青い家

たかが間取り、されど間取り

金の家

家の近くにさる文豪の住居跡を利用した記念館があります。かなり昔に建てられた住宅に手を入れて記念館としているのですが、書斎や寝室はかつて文豪が暮らしていたときのまま保存されています。

なかなか瀟洒なその建物は、驚いたことに間取りから外観のデザインまで、文豪自身が手がけ、郷里の大工を呼んで工事に当たらせたものなのだそうです。文豪は東京帝国大学で文学は学んでも、建築に関しては素人であったそうですから、まさに普請道楽です。

ところがその建物、良く出来ていそうでよくよく見るとおかしなところもなくはありません。使い勝手の面からも間取りがちょっと変なのです。

文豪は小説などの執筆においては間違いなく文豪でも、やはり畑違いの普請に関しては素人だったのだと思いました。

ただ、そうは言っても不思議であるのは、この建物にはプロといえる郷里の大工が工事でかかわりを持っています。見積もりを出すためにも、実際の工事に入る前に、プロが事前に文豪の描いた間取り図に目を通していたことは確かだろうと思うのです。

そのときに何故大工は単純なミスを指摘しなかったのかなと思いました。もっとも、請負の仕事は出された図面通りに工事をすることで、設計は範囲外ということかもしれません。

そうだとすると、一見誰でも出来そうな住宅の間取りのようなものでも、素人考えで推し進めるのではなく、やはりその道のプロの力を適宜借りた方が間違いはないと思いました。

何かに秀でた才能を持った人ほど何でも自分でやれると過信してしまいがちです。とりわけそうした人ほど、プロを活用すべきではないでしょうか。たかが間取り、されど間取りなのです。

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